一眼レフカメラ・ミラーレスカメラの楽しみのひとつは、レンズ選びですね。
私のカメラ人生はキットレンズ以外の交換レンズを買ったところから始まったと言っても過言ではありません。
それほど、レンズはカメラの魅力を広げてくれるものです。
今回は、私が最初に購入した交換レンズ、キヤノンのEF50mmF1.8という単焦点レンズをご紹介します。
このレンズ、値段が手ごろでよくボケるのでとても人気があるものですが、弱点があるのも事実です。
今回はこのレンズのメリットとデメリットを、私の体験談を交えてお話ししていきたいと思います。
ブロガー自己紹介
この記事を書いている、フリーカメラマンのユキカです。
初心者一眼レフを買って3年でプロに転身。子供・家族・プロフィール写真撮影は年間100件以上。
ネットショップ・店舗向けのファッション雑貨や料理写真の撮影経験もあり。
最近は、起業家・フリーランス向けに写真撮影とホームページ制作や更新のサポートも行っています。
単焦点レンズEF50mmF1.8の魅力とメリット
このレンズは、私に写真の楽しさを教えてくれたレンズです!
単焦点レンズを使うと、キットレンズではなかなか出せないふんわりとしたぼけ感が出せます。
このレンズと出会ってすぐにとりこになり、こればかり使っていた時期もありました。
まずはこのレンズの魅力を詳しくお伝えしていきます。
F1.8のチカラ!ぼけがきれい
何と言ってもこのレンズの魅力はぼけの美しさです。
絞り(F値)の最小値のことを開放と言いますが、この単焦点レンズの開放値はF1.8。
当時主に使っていたEF-S18-55mmの標準レンズの開放値はF4.0-5.6(画角によって開放値が変わるタイプ)。
比べてみると後ろの洋書のぼけ具合がかなり違いますね。
いろんなものが写りこんでしまっても、ふんわりとぼけて良い感じに撮れるので、魔法のレンズだと感じました。
単焦点レンズは室内でも明るくきれいに撮れる
F値を小さくすると、背景がぼけやすくなるのど同時に、写真が明るくなります。
F値を小さくするということは、絞りを開けるということなので、レンズの穴が大きくなり、たくさんの光が入ります。
F値を小さくするほど、写真は明るくなります。つまり、その他の条件を同じにした場合、F値を4.0までしか下げられない標準ズームレンズよりも、F値を1.8まで下げられる単焦点レンズの方が明るく撮れる、ということなのです。
標準レンズではISO感度を上げるしかないですが、単焦点レンズならF値を小さくすることで、ISO感度を上げなくても明るく撮ることができます。
先ほどの写真のISO感度を見てみると…
写真の明るさはほぼ同じで、標準ズームレンズはISO500、単焦点レンズはISO160。
明るく撮れるということはレンズとしてすごく強みがあるということなのです。
単焦点レンズは室内の撮影でとても役に立ちます!
例えば、室内で子供を撮るときにも単焦点レンズはおすすめです。家の中でも常に動いている子どもを撮ろうとしたら、シャッタースピードを1/250秒くらいは確保したいところ。
標準レンズを使う場合はISO感度を上げないといけませんが、単焦点レンズなら絞りを開けることで明るさを確保できます。ISO感度を低めにおさえ、より高画質で撮影できます。
2万円以下という安さ!お試しで買いやすい価格
私がこのレンズを買った大きな理由のひとつが、価格です。
一眼レフカメラの交換レンズは本当にピンキリで、いろんな値段のものがあります。
カメラ本体も安い買いものではないので、カメラを買ったばかりなのに高いレンズを買うことは、簡単じゃないですよね。
なので、安いレンズは庶民の味方です。
このEF50mmF1.8というレンズは、価格が2万円以下。安いところを探せば15,000円前後で購入できます。
「とりあえず買ってみよう」と気軽に手が出しやすい価格で、「撒き餌レンズ」とも呼ばれています。
このレンズでカメラにどはまりした人がここに(私)いるので、この撒き餌の威力はなかなかだと思います。
160gで軽量かつコンパクト!持ち歩きに便利
写真を撮りに出かける時は、なるべく身軽に行きたいですよね。そんな人たちにとって、交換レンズのサイズや重量は気になるポイントです。
このレンズはとにかくコンパクト。そしてたった160gと、すごく軽い。
迷っても「持っていこう」と思える手軽さです。
ちょっとした外出でも、標準レンズと一緒にカバンに入れて持っていきます!
ちなみに、同じ50mmの『EF50mmF1.2L』というレンズは、質量が590gで約3.7倍。手に取るとずっしりとした重みを感じます。
EF50mmF1.8は、旅行など身軽に出掛けたいときにも重宝する、手軽さも魅了のレンズです。
単焦点レンズEF50mmF1.8の弱点・デメリット
お手頃価格で、ボケがきれいなレンズだとここまで褒めちぎってきましたが、このレンズには弱点もありますので、包み隠さずお話ししていきます。
開放値F1.8はピントがあまくなりやすい
このレンズの魅力は背景がよくぼけることなんですが、ぼけやすいということは、言い換えると「ピントの合う範囲がすごく狭い」ということ。
つまり、ピント位置が少しでもずれると、ピントがあまい写真、つまりピンボケの写真になってしまいます。
次の2枚の写真は、同じ条件でF2.8とF1.8で撮った写真です。ピント位置を分かりやすくするために、赤い四角で表示しました。
F2.8では、カメラ全体がくっきりシャープに写っていますが、F1.8では、カメラ本体の黒い部分もぼんやりとしています。
F1.8の場合、とにかくピントが合う範囲が狭いので、主役であるカメラでさえ全体にピントが合わないのです。
もし「主役のカメラは全体をくっきり写したい」と思っていたなら、F1.8は失敗です。F2.8の方がくっきりときれに写っています。
F値を小さくするということは、ぼけやすくなる半面、ピントの合う範囲が狭くなり、ピント調整がシビアになります。
このことを忘れずに、絞りを設定をしていきましょう。
近い距離のものを撮るときは、「ぼけ過ぎ」に注意。F2.8からF3.5くらいでも背景は十分ぼけますよ。
以前、私もこのレンズで撮影して、ボツを量産したことがあります。
絞り開放(F1.8)で撮影し、自宅に戻って写真をチェックしてみたところ、ピントがあまい写真が数多くありました。
カメラの液晶パネルでは問題なく見えるんですが、大きなモニターで見てみるとピントの甘さが良くわかります
それ以来、開放でこのレンズを使うことは少なくなりました。
AFが遅い・迷うこともしばしば
このレンズを使っていると、「ジー・ジー」という音をよく聞きます。
レンズがピントを合わせようと一生懸命動いている音なんですが、ピントがなかなか合わず、時間がかかることもあります。
これは、レンズの性能です。値段が2万円以下と安価なので、気になるところもあります。
一般的に安いレンズはオートフォーカス(ピント合わせ)が遅いです。そこが性能の差であり、値段の差とも言えます。
ちなみに、EF50mmF1.2Lの単焦点レンズと比べると、オートフォーカスのスピードは比較になりません。
安価なレンズなので、そこは値段なりだということ。
たった2万円弱なのに、ぼけがきれいで明るく撮れるレンズ。それだけでもコストパフォーマンスは高いと感じます。
EF50mmF1.8はそういうレンズだと理解して使っていきましょう。
APS-Cに着けると80mm相当。画角が狭くて撮りづらい
このレンズの画角は50mmですが、ちなみに、これはフルサイズのカメラに着けた場合の画角です。
このころ私が使っていたカメラKiss X7はAPS-Cなので、50mmのレンズを装着すると画角は1.6倍の80mmに変わります。
屋外や広い場所で撮影する場合は、自分が後ろに下がればいいのであまり問題ないですが、室内や狭い場所だとそうもいきません。
例えばカフェでケーキを撮ろうとしたとき。80mmだと、座ったままケーキ全体を入れて撮るのは難しいですね。
一般的な標準ズームレンズの画角が24mm~70mmなので、80mmは標準レンズの焦点距離の範囲に収まっていません。
50mmはポートレートを撮るにもちょうどよく、使いやすいと言われている画角なんですが、あくまでそれはフルサイズカメラに着けたときの画角です。
APS-Cカメラを使っている方は、30mm前後のレンズが50mm相当です。レンズを選ぶときには注意しましょう。
キヤノンの純正レンズでは、EF-S35mmというレンズが2017年に発売されました。また、シグマからも30mmというレンズが出ています。
まとめ|単焦点レンズEF50mmF1.8の魅力と弱点
いかがでしたでしょうか?
このEF50mmF1.8という単焦点レンズは、ボケがきれいで、明るく撮れて、安くて軽い、というとても魅力的なレンズです。
しかし、価格がお手頃ゆえに、開放値でのピントが外れやすかったり、オートフォーカスが遅かったり、という難点があることも事実です。
またAPS-Cカメラにつける場合は実質80mmという狭い画角となるので、注意が必要です。
一方で、いろんなものを試してみることも大切です。新しい機材に挑戦すると、きっと新しい発見があると思います。
新しいものに挑戦するときは、失敗がつきものです。でも失敗を経験するからこそ、いろんなことを学ぶんですよね。私も失敗からたくさんのことを学びました。
まだキットのレンズしか持っていないという方、ぜひ新しいレンズを試して、これまでと違う写真を撮ってみてくださいね。